TX-SA800(N) 解説


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 このアンプの音なのだが、サンスイのアンプに比べるとどうも響きが美しくない。アタック音ははっきりしているので映画やらドラム音やらを聞く分にはいいのだが、特に低めの音があっさりしすぎていて軽い音に聞こえてしまう。おかげで音楽の中でもギターやらバイオリンやらピアノやらのウネリが感じられないのがどうにも不満だ。一般には音の出口で音が変わると言われていて、スピーカーによって出る音のキャラクターの多くが決まるとされているが、アンプだけでここまで違ってしまうのかと逆に驚いた。トーンやらサラウンドパラメータやらちょろちょろいじっているが、どうにも前と同じような音にはならないもよう。ある程度大きな音にすると聴けるようになる(よくある話)のだが...更には今メインで使っているDS-500よりもサラウンド用にしているSC-A555SAの方が気持ちよく聴けるのも困ったもんだ。メインのスピーカーも変えないとならないのかもしれない。


 マニュアルが薄い紙で、何度も開くと紙がよれよれになっちゃいそうなので電子的に私がわかる程度に文書にまとめておく。ちなみにONKYOのページでは説明書の電子文書(pdf)が公開されている。
オンキョー説明書ダウンロード


サウンドエフェクト(リスニングモード)変更

操作ボタン

効能

PURE A/DIRECT ピュアオーディオとダイレクトモードを切り替える
STEREO ステレオモードに変更
SURROUND Dolby Digital / DTS のモード切り替え
 DD/DTSソース時は7.1ch - 5.1chの切り替え
 2chソースでは Prologic2 / DTS neo:6のモード切り替え
THX THXサラウンドモード
< DSP > ONKYO独自のサラウンドモードの切り替え
 Mono - Theater-Dimensional - Mono Movie - Enhanced 7 - Orchestra - Unplugged - Studio-Mix - TV Logic - All Ch Stereo
ALL ST All Ch Stereoに切り替え
LATE NIGHT ダイナミックレンジを圧縮し、小さな音を聴きやすくする
※Dolby Digitalでのみ有効
Re-EQ 高音域を押さえる
※映画館用リミックスのときに高音が強調される傾向がある


ONKYO独自サラウンドモードの効果

ピュアオーディオ ビデオ系の電源を落とし、すべてのエフェクトをなくして、メインスピーカーのみで再生
ダイレクト すべてのエフェクトをなくして、メインスピーカーのみで再生 ビデオ出力される点がピュアオーディオとは異なる。
ステレオ メインスピーカー+サブウーハーで再生
モノ モノラル再生
シアターディメンジョナル フロント3スピーカーのみでサラウンド効果を出す
モノムービー モノラルソースで、センターからはモノラルのみ、メイン・サラウンドには残響効果音を再生
エンハンスト7 自然なサラウンド効果。音楽鑑賞やスポーツ中継向き。
オーケストラ センターをオフし、全体に広がる効果。クラシックやオペラ向き。残響音が多い。
アンプラグド フロントの音場を重視。ステージの前で聴いているような音場。
スタジオミックス 躍動感にあふれ、ライブハウスにいるような迫力の音場。
テレビロジック 全体的なサラウンド感とセリフの明瞭度を高める。
オールチャネルステレオ メイン・サラウンドで同じ音を再生、センターはL+Rで再生、サブウーハーあり


Dolby Digital / DTS関連

Dolby Digital 5.1ch 言わずと知れたDVD映画に多い5.1chモード。 
Dolby Digital EX ドルビーによる7.1chモード。サラウンドリアの2chが追加される。 
Dolby Pro Logic II Movie 2chソース(主にドルビープロロジックソース)を5.1ch/7.1chで再生するモード。センター音はセンターから出力される。 
Dolby Pro Logic II Music 2chソースを5.1ch/7.1chで再生する。ステレオの分離を重視している。 
Dolby EX AAC AACソースにドルビーEX効果を加える。 
DTS 一部のDVDビデオに収録されているDTS5.1chソース用。 
DTS-ES Discrete 6.1 DTS-ESのうち、ディスクリート6.1ch(多分独立6ch+LFE音)用。 
DTS-ES Matrix 6.1 DTS-ESのうち、マトリックス6.1ch(多分5ch+LFEを元にサラウンドリアを埋め込んでいる)用。 
DTS Neo:6 Cinema 2chソースをDTS Neo:6 Cinemaモードで再生。
DTS Neo:6 Music 2chソースをDTS Neo:6 Musicモードで再生。 
DTS 96/24 DTS 96kHz/24bitソースの再生。 
THX Cinema(PLII) ドルビープロロジックソースをTHXサラウンドで再生。 
THX Cinema(Neo:6) 2chソースをTHXサラウンドで再生。
THXサラウンドEX THX認定ドルビーデジタルソースをTHXサラウンド
DTS-ES THX Cinema DTS-ESソースをTHXで再生。 

セットアップ(設定)

1.1 Speaker Config(スピーカーサイズの設定)
 Small = そのスピーカーの低音域をSWとLarge設定SPに出力。そのSPは低音域はカットされる。
 Large = そのスピーカーの低音域をそのまま出力。
 Crossover = 上記低音域のカットオフ周波数を設定。
基本的にメイン・サラウンドスピーカーのサイズで決定するわけだが、全てで低音を出力していると位相が合わないとか、一部周波数のみ強調されるとか、必要な低音が一部出ないとか、問題があるらしい。

1.3 Level Calibration(スピーカーレベル調整)
 これを使うと各SPの1つから音が出るのでレベルを調整する。のだが、1つずつしか出せないため、調整は難しい。やるならばALL Ch STEREOでモノラルソースを再生して、聞こえ過ぎるSPを抑えていく方がいいと思う。

 リモコンにTESTとCH SELボタンがある。TESTを押すごとに上記同様に順に各スピーカーから音が出るので1つずつLEVEL↑↓で調整する。CH SELボタンを押すと各スピーカーごとにレベルが表示されるので、LEVEL↑↓で調整できるが、こちらは一時的なもので電源オフでクリアされる。

2.1 Digital Setup(音声入力の選択)
 このアンプの入力切替は映像ソースを選択することになるのだが、その時の音声ソースを設定する。OPT1〜3、COAX1〜3、アナログで選択。ところでDTSとPCMはこのアンプでは(一般的にもそうだと思うが)自動的に判別されるのだが、その判別をしている瞬間は逆の出力がされることがある。

2.3 Video Setup(ビデオ入力の選択)
 入力切替に対応するビデオ信号の入力を設定する。DVD/VIDEO入力を自由に選択できるのはもちろん、CD/TAPEなどのオーディオオンリーソース時の映像出力はどれにするか、あるいは最後に選択した映像入力を出すかを設定できる。また各入力をコンポーネント・D端子入力に設定することも可能。

3.1 Tone Control
 Bass,Trebleの強弱を設定する。が、Front L/R、Center、SWのみに効果がある(SWはBassのみ)。

(続く)



 スピーカー設定の基本

 スピーカーの設定は距離(ディレイ・位相)と音量の設定に分けられる。距離設定にはSpeaker ConfigのSpeaker DistanceとAudio SettingのDelayとがある。共に同じ意味である(はず)で、0.3m=1msという換算になっている。Speaker Distanceではスピーカー個別に設定でき、Delayはサラウンド・サラウンドバック・サブウーハに対して設定でき、マイナス設定も可能である。

 まずはSTEREOモード(フロント左右+サブウーハ)にして、Speaker Distanceを設定する。距離を正確に測るよりも、音のタイミングを合わせることを目指す。うちではフロント3.0mに対してサブウーハ0.3mにすることで、音のずれはなくなった。要するにこのサブウーハから出る音は早いのである。

 続いてALL STEREO(全スピーカーから同じレベルで音が出る)にして、サラウンド側のディレイを設定する。ここでは大まかに合っていればいい。更に前後の音量レベルとサブウーハの音量を調整する。

 大まかに合わせたところで実際の映画や音楽CDで微調整を行う。サウンドチェックディスクなんかを利用してもいい。ただし音楽CDには低域レベルがかなり小さいものがあるので注意が必要である。音量やディレイをうまく調整すれば、前後の音がちゃんと混ざり合ってきれいに回るようになる...はず。

 ちなみにアンプ内蔵のテストトーンは役に立たない。このアンプにあるテストトーンは各スピーカーごとに音が出て音量調節をするようになっているが、本当に必要なのは全スピーカーから同じ音が出てレベル調整できるものと、その断続音が出て音の出るタイミングを合わせられるものだからだ。

 最終的にスピーカーは全てLarge、CrossOverは120Hz、フロント3本2.55m、サラウンド0.60m、サブウーハー1.05m、左右を+1でサラウンドを-1、Bassを+2、ディレイは全て0.0msにしている。サブウーハー側ではLPFはOFF、PhaseはNormalにしてある。


RC-510M

 リモコン自体は4つのボタングループにはっきり分かれていて手触りでボタン位置が確認できるので操作性は非常にいい。カーソルボタンとプレイボタン周りが中央の押しやすい位置にあり、持ち替えることなく通常操作が可能。普通に真中付近を持ったときに電池側が重過ぎず、バランスもいい。

 このリモコンは学習リモコンである。ある程度あるプリセットで不足するときには学習させることが可能で、モードが6つ×50ボタンほどの機能が割り振れる。残念ながらプリセット呼び出しでは制限が多い(ビデオ、テレビはそれぞれ1つしか設定できないとか)が、学習機能を使えばフォロー可能。操作性がいいので、私は家中のリモコンを設定しまくって、このリモコン+VTRのリモコン(液晶つき)の2つに集約した。

 ただ使うときにはモードをいちいち変えないといけない(当然)わけで、それが面倒か複数のリモコンを使い分けるのが面倒かは微妙な問題だが。今どのモードなのかもボタンを押すまでは判別できない(ボタンを押すとモードボタンが光ってわかる)のも難点である。

 何かボタンを押すといちいちモードボタンが光るし、ほとんどのリモコンを集約したのでガンガン使われまくるし、一部の会社のリモコンは電気食いで電池の持ちが悪いようだしってことで電池の持ちが心配である。充電池を使っているが、普通に使って1年以上持っていると思う。たまに(消耗の激しい)マウスの電池と替えちゃうのではっきりとはわからない。
 電池を外した瞬間に全ての記憶を失ってしまって全て再登録するはめになるのは嫌だったのだが、電池を交換したくらいでは何の問題もなく記憶も失われずに使用可能だった。

 使えるボタンが多いので、どのモードのどのボタンにどのリモコンのどの機能を割り振ったのか思い出すのが大変だったりもする。というわけで自分のためのメモ書き。これ以上記憶できない状態。プリセット+追加学習にすると使用可能量が稼げるが、もう少し容量が欲しい。

モード RCVR CD TV DVD VCR SAT/MD CABLE  CABLE  CABLE
対応機器 AVアンプ HDDレコ TV DVD S-VHS スカパー セレクタ 照明 LD
SLEEP SLEEP                
ON ON   電源 電源 ビデオ電源   電源   電源
STANBY STANBY                
MACRO1                  
MACRO2                  
TV(|)     電源            
VOL VOL TV音量 音量 TV音量 TV音量        
CH/DISC   CH チャンネル   チャンネル チャンネル      
カーソル メニュー選択 カーソル 選択+- カーソル   カーソル      
ENTER 決定 決定 決定 決定   決定      
SETUP SETUP 再生ナビ メニュー 初期設定   画面表示      
RETURN RETURN モード   画面表示   裏番組      
TEST/MENU   クイックメニュー 画質/音質 メニュー   メニュー      
CH SEL/TOPMENU CH選択 戻る 画面表示 トップメニュー   番組情報      
AUDIO SEL/TV/VCR D/M/A切換 音多   音声 音声切替 衛星切替   全灯  
ANGLE/↓ CH音量 入力切替   アングル   信号切替    
SUBTITLE/↑ CH音量 値<   字幕   ページ↓    
MUTING ミュート 値> ミューティング     ページ↑   送り  
再生   再生   再生 再生       再生
停止   停止   停止 停止       停止 
ポーズ   一時停止   一時停止 一時停止       一時停止
|←   リプレイ   頭出し<<       |←
→|   スキップ   頭出し>>       →|
<<   <<   スキャン<< 巻戻し       <<
>>   >>   スキャン>> 早送り       >>
REC   チャプター挿入     録画        
イジェクト   録画延長   オープン/クローズ 取出し        
DVD 入力切替 簡単ナビ PinP   予約画面 メニュー モニター1    
CD 入力切替 録画ナビ 親子入替     番組表 モニター6    
V1 入力切替 タイムバー PinP入力切替       モニター2    
V2 入力切替 窓表示 子画面-       モニター3    
TAP 入力切替 番組説明 子画面+       モニター4    
TUN 入力切替 残量 PinP位置     戻る モニター5    
V3 入力切替 タイムスリップ TV       OUTPUT    
V4 入力切替 録画モード V1       AUDIO    
V5 入力切替 スキップ< V2            
PH 入力切替 スキップ> V3       Vプロセッサ    
1 PURE AUDIO   1チャンネル 1     ソース1    
2 DIRECT   2チャンネル 2     ソース2    
3 STEREO   3チャンネル 3     ソース3    
4 SURROUND 4チャンネル 4     ソース4    
5 THX   5チャンネル 5     ソース5    
6 ALL STEREO   6チャンネル 6     ソース6    
7 DSP <   7チャンネル 7        
8 DSP >   8チャンネル 8        
9 Re-EQ   9チャンネル 9        
+10 DISPLAY     +10        
0 DIMMER   10チャンネル 0        
ENTER ZONE II   12チャンネル            

 


Dolby Digital 5.1とDTS

 一般にそうなのかこのアンプ(デコーダー)の特徴なのかわからないが、話に聞くほどにはDTSの音は良くない。最初に見たGladiatorはさすがにDTS-ESが売りになっていることもあってかDTSの方が音が良かったのだが、その後に見ている各種映画は皆DD5.1の方が音が良かったりする。細かく言えば、DTSの方は音楽(BGM)は良く聞こえるのだが、セリフや効果音はDD5.1の方が良い。一般にそういう傾向があるのか、このデコーダーではこうなのかは判断できないが...まあGladiatorもBGM中心に進む映画なのでDTSの方がいいと感じているだけかもしれない。
 あるいは、収録・販売側の都合なのかもしれない。例えばDTSは原理的に音がいいと宣伝し、DTS音声を収録していることで値段を上げ、実は元がDD5.1なのをセリフや効果音はDTSに変換しているので音が悪くなり、一方BGMは別音源から別途取っているので音がいい、とか。
 それでも私は映像に対するこだわりがないのでDTS収録を好んで買っているが、こだわりがあったらば(おそらく映像により多くのビットレートをさいている)DDのみのものを好んでいたかもしれない。