SMバスについて学習した。SMバスはI2Cバスのサブセットである。クロックとデータの２線でデータのやり取りをする。（他にも割り込みの線もある）バスというだけあって複数のデバイスが接続できる。１つがホストとなり、他はホストの指示で動く。PCではホストになるのはPIIX4（いわゆるサウスブリッジ）である。
LM78にはISAのインタフェースとSMバスのインタフェースがあり、上の通りにISAのI/O空間でも使えるが、LM75はSMバスのインタフェースしかない。（LM78は44ピンの大きなパッケージだが、LM75は8ピンしかない）そのため、PIIX4を使ってアクセスするしかない。逆にPIIX4がSMバスの面倒なところを行ってくれるので、アクセスするのはそれほど難しくない。PIIX4のSMバスに関する記述は仕様書のPP148-153、PP266-267に出ている。
SMバスのアクセスは某I/Oアドレスからの13バイトで行う。今の所SMバスのI/Oアドレスがどこなのかがわかっていない。PIIX4のPCIコンフィグレーションを見ればわかるらしいのだが。ここではBASEにしておく。詳しくはPIIX4仕様書のP.148〜を参照。ここでは基本的なデータへのアクセス方法だけを書いておく。他に初期化などの作業がありそうであるが、BIOSで行われていてOS上では行う必要がないのかもしれない。
- BASE+4にデバイス番号とR/Wの別を書く。デバイス番号は、LM78はデフォルトで0x2D、LM75は0x48から0x4F（a0-a2ピンの入力による）である。 PIIX4にも0x08という番号がある。
- BASE+3にコマンドを書く。詳しくはデバイスの仕様書参照。LM78はP.24からAddress Registerとして、LM75はP.10にPointer Registerとして書かれている。
- BASE+2のビット６を立て、ビット２から４にアクセス方法を書く。LM75の温度を得るならアクセス方法はWord Data Read/Writeになる（と思う）。LM78のアクセスはByte Data Read/Writeか？。
- BASE+0のビット０が０になるのを待つ。
- 結果がBASE+5とBASE+6に出ている。
になる。みたい。
ちなみにLM78では1.0℃単位で、LM75は0.5℃単位で温度がわかる。
まずはSMBusのアドレス。PCIコンフィグのバス０デバイス７（PIIX4）のファンクション３の0x90-0x93バイト目にSMBusのベースアドレスが入っている。このことはPIIX4仕様書のP.50、P.135に出ている。私はDUMPPCIというNTのプログラムを使って調べた。このプログラムではコンフィグレーションは先頭の0x40バイト分（デバイス共通部分）しか持ってこなかったので、0x90-を取るように変更を加えた。ちなみに変更するにはVC++とSDKとDDKが必要。
その結果、デバイスのアドレスは0x5000からと出た。Win95のデバイスマネージャで見てみると、確かにPCIデバイスになっている。
で、前日に書いた方法で（やはりdebugで）アクセスしてみる。ここでわかったことは、BASE+2に書いた後、BASE+0が04だったときはエラーであり、02ならデータを用意できているということ。一度立ったビットは同じビットを１にしてBASE+0にWriteするとクリアされる。
LM75のデバイス番号は0x48-0x4Fと決まっていないので順にアクセスしてみてエラーのないところを探す。私の場合は0x4Cだった。
アクセス方法をまとめてみると、
- I/Oの0x5004にデバイス番号とR/Wの別を書く。デバイス0x4Cのリードなら0x99になる。
- I/Oの0x5003にコマンドを書く。LM75の温度の読み込みは0x00である。
- I/Oの0x5002のビット６を立て、ビット２から４にアクセス方法を書く。LM75の温度を得るなら0x4C。
- I/Oの0x5000を見る。0x04のビットが立っていたら、転送でエラーがあったことを示す。デバイス番号またはコマンドが違っているなど。0x5000に0x04を書いてクリアしておく。0x02のビットが立っていたらデータを用意できたことを示す。
- I/Oの0x5005と0x5006に出ている。私の場合は0x25、0x80とか0x26、0x00とか読み出せた。それぞれ37.5℃、38℃をあらわしている。
- I/Oの0x5000に0x02を書いてビットをクリアしておく。
である。なぜこんな簡単なのに出回っているツールが使えないのかはわからない。そのうち適当なツールを作ろうかと思ったが、私のマシンではCPU温度が正確に測れていない。というのはセンサーがCPUから離れているため。私の場合は特にヒートシンクからも外れてしまっている。これを改善しないと温度センサーの絶対値の意味がない。
まあ本当はＢＩＯＳでＨ／Ｗの違いを吸収していて、ＢＩＯＳを通した読み方ってのがあるみたいですけど。（それがＳＭＢＩＯＳ？）ここのSystem Management BIOSに仕様が出てます。
でもってVCでちゃっちゃと作ってみた。実行するにはVC5のランタイムDLLが必要と思う。一応、SOYOのSY-6BA用。他のマザーボードでも使えるのかもしれない。各値は上で書いた方法で得ている（LM78はISAのI/Oアドレスで、LM75はPIIX4のSMバスホスト機能で得ている）。5V、12V系の電圧はいいかげんな定数をかけているので不正確だと思われる。一応マザーボードの示す値と同じになるようにしてみた。回転数は135*10000/xxx/2で出るようだ。LM75のマニュアルにちゃんと書いてあった。
Windows95上で確認している。WindowsNTではTOTALIO.SYSなどを入れてI/Oに穴を空けておく必要がある。（と思う。未確認。）
ちなみに私のマザーボードはLM78はAGPとPCIの間辺り、LM75はCPUスロットとBXチップの間辺りにある。
SMBUS.EXE(13K)
電圧はmVで、FANはRPMで、温度は℃（LM75の方は10倍している）で表示される。表示だけなので、自動的に更新されたり、設定温度になると警告が出たり、読み出した値を記録したりといった付加機能は一切ない。フリーウェアとして使用料は無料とする。但し、配布不可。これによって得た・失ったものについては一切保証はしない。（どちらかというと、これを元にもっといいものを作ってもらいたい）
これにてLM78/LM75プロジェクトは終了とする。
